カテゴリー「BOOKレビュー」の記事

2009年5月 1日 (金)

2009年3~4月BOOKレビュー!(4冊)

2009年6冊目 
嫉妬の香り 作者 辻仁成

私は、辻仁成さんがあまり好きじゃないんです・・・
というのも、今の奥さん、中山ミポリンに初めて会った時に、「やっと会えたね!」と言ったエピソード、あと雑誌のエッセイなんかを読むにつけ、この人はアカン~~といつも思ってます。

でも、小説としてはそんな歯が浮くセリフもアリです。
「冷静と情熱のあいだ」も「サヨナライツカ」は好きな本ベスト5に入るであろう大のお気に入りで、辻仁成さんの作品は好んでいます。

この嫉妬の香り…
2組のカップルが織り成す、4角関係みたいな話です。
この2つのカップルのそれぞれ嫉妬深い方が要らぬ嫉妬を繰り返し、嫉妬深い方者同士がくっ付いたり離れたり、嫉妬深くない者同士がくっ付いたり離れたりします。

主人公のテツシは、この嫉妬という感情が自分の目を曇らせてしまい大切なものを失ってしまったことに気が付くのですが、この一方的な行動も、辻仁成マジックにかかると切なく感じたりします。

しかし、嫉妬というのはものすごいパワーがありますね
私自身はあまり記憶にない感情なんですが、自分の好きな人をそこまで疑えるものなのか・・・ さっぱり、わかりません  

物語りのラストは、嫉妬の闇から抜け出したテツシに、何かが変わりそうな甘い特別な香り届き、ハッピーエンドを予感させます。
この本における嫉妬は、人間の成長においても、恋人との関係においても一役買った感じがあるんですが、現実でもそうなんでしょうかね?

特にオススメしません。
この本から、特に得るものもないと思いますが、辻仁成さんの作品が好きな人なら、暇つぶしにはなります。

2009年7冊目 
ゲバラ最後の戦い 作者 レジス・ドブレ

ドブレに対しては、ゲバラがボリビアでのゲリラ活動に失敗した、命を落としたきっかけを作ったように感じているので、最悪な印象を持っています。

ゲバラのボリビア潜伏中、呼んでもいないのにお供を連れてボリビアにやって来て、その連れがゲバラの似顔絵スケッチをしていたことで、その後ゲバラがボリビアにいることが明らかになった…そんな経緯があるもので。

この本を読めば、ドブレが何の目的でボリビアに行ったのかがわかるのかと思ったんですが、さっぱりわかりませんでした。

ボリビア革命は最初から勝利を収める環境にはなかったことと、度重なる不運がゲバラの命を奪う結果になったということを延々書いているだけの本です。

整合性が付かない部分もあり、あと、表現も未熟?というかどこか読みにくい本なのですが、ゲバラ日記とリンクさせてみると、ゲバラがボリビアで探し続けていた仲間達がその間どうしていたのか…についても記されていたので興味深い部分もあります。

ドブレが何のためにボリビアに行ったのかは未だに謎ですが…。

あっ、ドブレですが、ゲバラを訪ねた直後に捕らえられて軍事裁判にかけられました。
全面自白により恩赦を受けて生き延びたドブレは、その後一転、ゲバラを批判する側に回っています。

ゆるぎない信念…ドブレにはなかったみたいですね。

2009年8冊目 
ふたりの季節 作者 小池真理子

詩集かと思うほど、文字数が少ない本です。
病院の待合室にいる間に一気読みしてしまいました!

2年前に離婚をし、新たな道を歩み始めた50代半ばの女性が主人公です。

仕事に追われる毎日の中、久しぶりの休暇を取り、その初日に出かけたカフェで、30年以上前に別れた昔の恋人と再会します。
この再会のひとときを描いた、また会おうと別れるまでのお話です。

その数時間の間に特別ドラマチックな出来事があるわけでもなく、「えっ、これで終わり?」というエンディングだったのですが、読み終わった後の気分はなんとなく爽やかでした。

エンディングは、

人生は続いている。 (中略)
ずいぶん遠くまで来てしまったと思っていたのに、道はさらに先に延びているようである。
このまま、もうしばらく、歩いて行けそうだ。
道の先にあるものは、まだ見えてこない。

これから、この主人公の女性に何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれませんが、

人生は予定調和には決して動いていかない。
起こったことは受け入れる。
起こらなかったことも受け入れる。

(文中より)

↑がこの本で、最も印象に残った一節なのですが、このように思っていきていけば、自分の思うようにいかずにイライラしたりすることもなく、穏やかに生きていけそうだなぁ…と思いました。

作者自身のあとがきの最後の一節。

あの時代を、由香と拓(主人公の名)のごとく私と共に生き、共に走り抜けてくれた懐かしい恋人に、本書をささげる。

小池真理子という女性は、なんてカッコイイ人なのでしょう!
ラクに読める本なので、ぜひ読んでみてください。

旅先なんかで読むといいだろうなぁ…と思います。
私は病院の待合室で読みましたが…  

2009年9冊目 
わが夫 チェ・ゲバラ 作者 アレイダ・マルチ

著者のアレイダ・マルチとはゲバラの2番目妻で、今も生存しています。
ゲバラとの出会いと別れ、そして現在に至るまでの思いがこの本に綴られています。

この本を出すに至った大きな理由は、自分の中で飛来する思い出をまとめることで、ゲバラの目指した公正な世界がどういうものだったのかを広めたかったということなんですが、ゲバラが自分に一目惚れをしたとか、ゲバラがどんな風に自分に気持ちを伝えてきたのか、そんなことを綴ってゲバラの思想を広めることにつながるのでしょーか?

こんなプライベートなことは、ふたりの思い出として心に秘めておけばいいのに…とは思うものの、逆に、他のゲバラ本にはない俗っぽさというか人間味があります。

この本でアレイダが1番伝えたかったことは、ゲバラは私にゾッコンだったのよです。 たぶん…

あと、どうやらアレイダは嫉妬深い人だったみたいです。

ゲバラの前妻に関する(アレイダとゲバラは、ゲバラが離婚する前に親密になっていたので、俗にいう不倫から始まった関係)、「チェ(ゲバラ)が選んだ人なんだからステキな人なんだろうと思っていたけれど、会ってみるとそーでもなかった」みたいな表記に見え隠れするアレイダの嫉妬心。

これをあえて本に書いてしまうアレイダに、ゲバラを亡くした後の辛さや淋しさを感じたりもしますが、私だったら他者に向けた本に、こんなことは書かないなぁ。

ちなみに、アレイダ自身は「私はよく嫉妬深いと言われますが、決して嫉妬深いわけではない」と書いてます。
書けば書くほど、逆の印象を植え付けると思うんですが…。

とはいえ、この本を読むと、アレイダが、革命当時もゲバラの死後もキューバのために尽力したことがわかります。(最近まで政治に携わっていた)
並みの女性では成し得なかったことだと思いますし、きっと今も強い信念を持ち続けて生きているんでしょうね。

そうそう、私はゲバラの次男と同じ誕生日でした。
私がこんなにゲバラに熱くなったキーはココにある

2009年2月12日 (木)

「チェ 39歳別れの手紙」 2009年第2弾

先週、鑑賞してきました。(withチェブさん)

「28歳の革命」と同じで、バックミュージックもない娯楽の要素ゼロの作品です。

「ゲバラ日記」(中公文庫)を忠実に再現して、「ゲバラはこのようにして人生を終えました…あなたはどう考えますか?」、みたいな感じで、あとは観客に丸投げしている作品だと思います。

映画にありがちな、当時を振り返るストーリーテラーを登場させて、「あの時あの人はこうだった・・・あのような困難にもめげずに、こんなすばらしい事を成し遂げました~!」みたいな主人公の人物評もないです。
印象の押し付けや導きも一切ナシ。

ソダーバーグ監督は、この作品の興行収入をあまり意識してなかったように思います。
オーシャンズシリーズで儲けていますしね!

この映画は、ゲバラが銃殺されて死を迎えて終わりなのですが、エンドロールも音楽はなし
エンドロールの最後に何かの映像が出てくるかも・・・
なんて淡い期待を抱きましたが、沈黙のまま終わりました。
この2作品を見ての感想は両極端、「全然面白くなかった」と思う人が多いかも。

ゲバラの著作本もたくさんあり、ゲバラに関わった生存者が多いのでドラマティックに仕立てることも不可能だったとは思うのですが。

「28歳の革命」もそうでしたが、ゲバラに関する基礎知識(生い立ち、とりまく人達、キューバ革命での役割とその後の活動状況)を知らなければ、なんでゲバラが家族と過ごすのに変装や偽名まで使わねばならないのか、わからないと思います…

「28歳の革命」でキューバ革命を成功させたゲバラは、次に自分が成すべきことを、革命前のキューバと同様に植民地化している「他国の政治と経済の独立」だと考え、いろんな状況をふまえてボリビアに潜入します。

「39歳別れの手紙」はボリビアへの潜入からはじまります。

ボリビアは、南米の複数の国に隣接しており、立地的には革命の輪を広げるにも最適。
カストロとボリビア共産党(反政府派)のモンヘの会談により支援(ゲリラ戦への参加)が約束されており、キューバからの支援も当然受けられる…ハズでした。

いろんな状況をふまえ、革命の条件が揃っていたはずなのですが、必要なものは得られませんでした。
裏切り?もしくは事前の話し合いが出来ていなかった?
 

いずれにしても、その苦境にあっても、出来ることに尽力し、最後まで自分の目指すものから目を反らさなかったゲバラ。
気高いです。

ゲバラの出身地はアルゼンチンで、キューバでもボリビアでもないです。

ゲバラは、植民地化している小国を次々に独立させることで、最終的には世界中の人々が平等な教育を受けられる貧富の差のない社会にしたいと思っていたようですが、そんなゲバラが望んだ社会には今もなっていません。

むしろ、格差社会と呼ばれている今の方が格差は広がっているのかもしれません。
社会保険制度のないアメリカでの医療事情は、医療サポートが無償で受けられるキューバより低く、高度治療が受けられるのはセレブだけ。

私はゲバラ映画の登場によって、こんな風にいろんな事を考えるようになりました。

もちろん、ゲバラの事を知らなくても特に困ることなく生きていける…と思います。
気軽におススメできるジャンルの映画ではないものの、鑑賞した人の心に大きなインパクトを与えるかもしれない作品だと思います。

私の中では、90点。
とにかく心に染みた作品でした。
今のところ2009年度NO.1です 
淡々とした作りゆえに、ちょっぴり寝てしまったので減点10…。

ついでにゲバラ本も紹介しておきます。
「ゲバラ世界を語る」

P1020915この本に、政治的主権と経済的独立を果たす改革は、民衆の力の獲得と大衆の全面的な参加が得られてのみ可能と書いてあります。
この本は、ゲバラがボリビアで39歳の人生を閉じる前のキューバのスポークスマンとして海外を飛び回っていた頃、国連などの会議で発言などをまとめたものなのですが、ボリビアでこの絶対条件を得られないとは夢にも思っていなかっただろうなぁ

この本には、資本主義が崩壊したと言われている今の状況をイメージさせる表記もありました。
「ゲバラ日記」よりも難解な本でしたが、ゲバラの献身的な活動と目指した社会構図は伝わってきます。

文章からは、ゲバラが武力行使を好んでいた様子は伺えません。
平等な社会…格差をなくす社会を目指したゲバラが50年前に取った活動の形ゲリラ戦だったのですね。

ゲバラの目指すインターナショナリズムが熱く伝わってきます。
最後の解説が興味深く、70
参考書みたいな本で、脳トレになります。

2009年2月 5日 (木)

「新訳 ゲバラ日記」 2009年4冊目

Photoこのゲバラ日記ですが、エルネスト・ゲバラが、最期の地となったボリビアでの日々を綴ったものです。
ゲバラの日記は、ゲリラになる前の医学生だった頃の「南米の放浪の旅バージョン」も出版されており、「モーターサイクル・ダイアリーズ」という名の映画にもなっています。

現在公開されている、ゲバラ映画「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」を見る前に、この映画を見ておくと、裕福な家庭で育ったゲバラが革命家になった背景が伺えます。

さて、このゲバラ日記ですが、私は新訳版を読みました。
新訳版には、序文が2つ付いています。
カミロ・ゲバラ(たぶん息子)による序文と、フィデル・カストロのなくてはならない序文なのですが、この序文を読むだけでかなりの時間を費やしてしまいました。

脳がたるんでいる私にとっては、言い回しが難解なんですー

たとえば、カストロのこの一文。
「ボリビアにおける彼の闘争の結末がその思想の破綻を表すとする者たちは、同類の短絡的判定手法に基づいて、革命を目差す偉大なる全先駆者及び全思想家の理想とその闘争に内在する有効性を否定することになる」
延々とこんな調子・・・
黒い文字も真っ赤に見えてくるような、ものすごいパワーが満ち溢れている文章なんです

そんなめちゃくちゃ疲れる文章なんですけれど、難解な序文を飛ばして日記本文に入ったら、もう2度と序文を読む気はしなくなる…必死に読みました
こんなに頭を使った読書は久々です。というより初めてかも…

本文のゲバラ日記は、もちろん出版を意識したわけでもないので、虫に噛まれて化膿した、歯の治療をした、誰かが転んでケガをした・・・久しぶりにコーヒーを味わった・・・そんな話しが大半です。
日々の出来事がちょっとした皮肉やユーモアを交えて記してあります。

しかし、数ヵ月後に捉えられ、ゲバラには死が迫っていることを私は知っています。
日記の背景にある過酷な状況を意識しながら読んでいくと、胸が詰まって泣けてしまいました

ボリビアでは国民の理解が得られないまま、ゲバラ隊は孤立していきます。

キューバ革命の時は、最初は数十人だったゲリラ隊が、民衆の支持を受け、共に戦い、政府を壊滅させました。
ボリビアでも、国民に向けたコミュニケ通信なるものを発行して、共に戦おうと協力を呼びかけ続けたものの…民衆の支持を得るどころか、ゲリラ隊のボリビア兵の士気までもどんどん低下していくのです

ボリビアの革命を果たそうとしているのに、ボリビア人の士気が低い…ゲリラ隊の中での諍いも増えてきて、密告者の気配もあります。(結局誰だかわからないんですが)

日々、飢えとの戦いです。
「誰があれを食べたんだ?」
「お前か?」
「俺じゃない!」 なんて揉め事との仲裁にも入らねばなりません。
キューバ(カストロ)からの支援もない様子で、連絡も途絶えています…

もちろん、喘息という持病を持つゲバラ自身の身体も疲労困憊しています。
思うように進まない現状の中での苛立ちも垣間見え、雌馬を切り付けてしまうことも…。

日記の中では、月間総括として、進捗状況や課題をきっちりまとめています。
自分自身の反省も含めて、ゲリラ隊の1人1人の動向を注意深く観察して書き記し、どういうアドバイスを与えるべきかを考えて実行しています。

ボリビアの山中で転々とする中、農場や民家から食料を分けてもらう際には、きちんと代金も支払います。作業を手伝ってもらった場合には賃金も支払い、強奪するわけではありません。
捕虜に取った敵兵にも、革命の目的を説明した上で開放し、むやみな残虐行為もしません。
常に紳士的な振る舞いをしている感じがしました。

そして、とても感性豊かな人です。
ただ「夜道を歩いた」と書いてもいいところを、「月明かりに照らされた夜道を歩いた」と書くような人です。

捕獲される前日の日記。
「われわれ17名は、するすると滑りゆく月光に照らされて前進した。歩行には足の折れるもので、通過した渓谷内に足跡を残してしまった」とあります。

この足跡が捕獲の原因となったのかどうかは別の話として、私にとっては、するすると滑りゆく月光に照らされて・・・と書き記すゲバラがとてつもなく魅力的な人物に感じられました。

結局は、志半ばで死を迎えるゲバラですが、最後まで諦めないポジティブさと死を恐れず一兵士として常に前線で戦う勇気は、眩しいばかりです

図書館で借りて読んだこの本ですが、近いうちに買おうと思ってます。
面白い本かというとそうではありませんが、読み終えた後には何とも言えない感動があります。せつない本です。

そうそう、このゲバラ日記を読んでも、ゲバラがキューバ革命に関わったいきさつやカストロとの出会いについては全くわかりません。

順序としては、映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」レンタル鑑賞→映画「28歳の革命」鑑賞→「ゲバラ日記」を読む→映画「39歳別れの手紙」鑑賞がベストかな。

明日「39歳別れの手紙」を観に行きます。(withチェブさん)
タオル持参です


Photo_2そういえば、先日、チェブさんのお誘いで、ゲバラの写真展に行ってまいりましたよ
私達が入るのと入れ違いに、泣きながら帰ったような人がいました。
泣けるほどの展示
期待も高まりましたが、そうでもなかった

ゲバラの事を少し勉強している私達にとってはやや物足りない感じ。
とはいえ、見たことのない写真も一応あったのと、チェブさんとゲバラの事を熱く語り合えたので、満足感は一杯です

私は、ゲバラの写真が大きくプリントされたTシャツやタペストリーを買うようなゲバラファンではないのですが、結構いいお値段で売ってました。

2009年1月31日 (土)

「告白」 2009年3冊目

Photo_4 著者は湊かなえさんのデビュー作です。
2008年8月に出版された本で、つまり湊さんはまだ新人作家です。

他に読みかけの本もあるのに、ずっと前に図書館にリクエストを入れていた本が次々にやってきて・・・・・最近は読書漬けの日々でーす

冒頭の数行を読んだだけで、何とも言えない独特の世界観に引き込まれてしまい…これも3時間ほどで一気読みしてしまいました。

間違いなく映画&ドラマ化されると思います


本としては、すごく面白い本でした。
でも、愉快心が浮き立つ心に染みるるとかそういった類の面白さではなく、後味の悪さがハンパじゃないです・・・
体調が悪い人、落ち込んでいる人は読まないでくださいね
「面白いので、是非とも読んでみて!」と言っておススメするような本ではないです。

とりあえず、登場人物の誰にも感情移入できなかったです。

テーマは、復讐。
子供を殺されたシングルマザーの教師が、その犯人が自分の生徒であることを知り、復讐をするという話です。
いじめや家庭内暴力・・・という心が重くなるようなエピソードを絡めて、復讐は完結します。
犯人に直接手を掛けるわけではなく、大切な人を奪うという形で・・・。

6章で構成されている本作は、1章と最終章は教師目線、他の章もそれぞれ違った関係者目線で描かれており、こんなに都合良く、事が運ぶかな~って思う部分もあるものの、そこは深く考えないこととして(許容範囲)読みました。

どの人も、自分の倫理に基づいて行動しており悪びれている様子がない。
それどころか、それによって誰かが傷ついても仕方がない、当然だ・・・という感じで、こんな事をしてもいいのだろうか?という迷いや葛藤も全くないです。

その点への嫌悪感を抱きつつも、こういった事件が絵空事ではなく、現実に起こっているということが、一層気分を重くさせる・・・そんな本です。


あと、ストーリーには関係ないのですが、この人の文体は、う~~~ん、どこか野暮ったい感じがします
ずいぶん昔に翻訳された本を読んだような、そんな感じがしました。

野暮ったさで-10点
後味の悪さで-10点
本としてはとても面白かったので、総合評価は80点です。
今のところ本年度NO.1

とはいえ、この本をあまり熱くおススメすると、私自身が病んでると誤解されそう~

2009年1月30日 (金)

「切羽へ」 2009年2冊目

2008年5月30日発行の井上荒野さんの本です。

この作家さんのことは全く知らなかったのですが、2008年直木賞受賞作ということでずーっと前に図書館にリクエストを入れていたようです。

「リクエストの本がご用意できました」というメールが入っていたので、昨日取りに行ったものの、「この本、リクエストしてたっけ」ってな具合でタイトルを見ても全くピンと来ませんでした。

とりあえず、今は難解な「ゲバラ日記」を読んでいる最中でもあるので、この「切羽へ」を先に読んでしまおう…と昨夜2時間半で読破。

読み終えた感想、自分が何でこの本を借りようとしたのかわからないくらい、つまらない本でした。
で、今、この本の事をネットでちょこちょこっと探ってみると、直木賞受賞作品とのこと。
リクエストを入れた理由はそれです。

離島(方言から考えると間違いなく九州)に住む、女性教師のセイ(苗字は忘れた)が主人公です。
夫は画家。

その島に、新任教師の石和がやってきたことをきっかけに、セイの心が揺れ動きます。
島に住む孤独な老女の死や同僚の不倫などのエピソードを織り込んで、その揺れ動く様が描かれているのですが、結局、何も起こりません。表面上は…

セイが直接その新任教師に気持ちを伝えることも、相手の気持ちを聞く場面もないです。
ただ、その気配だけはどこにもかしこにも色濃く漂っています。

セイの周りにいる人達はその事に気が付いており、夫も当然気が付いているのですが、夫はその事でセイを問いただすこともなく、ただ見守っています。

意図的ではないのでしょうが、セイはみんなにその気持ちが伝わってしまうような振る舞いをしていたってことなのでしょうね。

こういった奥歯に物が挟まったまま過ごしている感じ・・・あ~イライラ
行間に込められた登場人物の心情を読めってことだと思うのですが、私はこのセイに感情移入できなかったのでムリ

タイトルにも出てくる切羽とは、セイのセリフを用いると「トンネルを掘っていく一番先だそうで、トンネルが繋がってしまえばなくなる。彫り続けていく間は、一番先が切羽」だそうですが、これは私の解釈では何かを追っているうちは夢中だけど、手に入れてしまうと輝きを失ってしまうとなります。

ちょっと違うかもしれませんが、「釣った魚にエサをやらない」って表現が大嫌いな私なので、手に入れた途端に輝きを失うってのがピンときません。

手に入れたら一層輝きを増す努力をする・・・釣った魚にもエサを与え続けてずっと大事に育てる…これが私の気持ちの上でのポリシー(実行が伴っているかどうか別ですが)なので、主人公がこういった気持ちで新任教師への思いを断ったのもよくわかりません。

妻の気持ちに気が付いていおり心にキズを負っているはずの夫も、何もなかったかのように妻を受け入れて元の生活に戻ります。
それほど妻が大事なのだろうとは思いますが、この夫にもイライラ・・・主人公のセイにもイライラ・・・とりあえず、私にとってはつまらない本でした~

終始透明感が漂っている本でしたが、それが何かを際立たせている感じもしない。作者の文体独特のものなのかな
でも、別の作品を読んでみようとも思わないので確認はできません

同じ直木賞受賞作「容疑者xの献身」を読んだ直後の深い感動を再び得られるかと期待したんですが…
しずかという老婆のエピソードだけがよかったので総合評価20点です。
とりあえず、私がこの作品の良さがわからないです。

2009年1月27日 (火)

「最後の初恋」 2009年1冊目

原作者は映画「きみに読む物語」と同じニコラス・スパークスです。

ニコラス・スパークスの処女作は「きみに読む物語」です。
この映画が私のお気に入りってこともあり、この「最後の初恋」が映画化された時も気にはなっていました。
主演のリチャード・ギアとダイアン・レインの組み合わせが「またか!」って感じだったので、映画館には行かずじまいでしたが・・・。(この2人がキライというわけではないんですが…)

結果的に、映画は上海行きの機内で鑑賞、本も上海から帰った直後、図書館で借りて読むことができました。

この映画はほぼ原作通りに作られていますが、映画版には最後にあっと驚く展開がありました。
盛り上げるには誰かの死が必要だとニコラス・スパークスは思っているのかもしれません。誰の死かはあえて伏せます。
でも、とても前向きなラストで、後味も爽やかです。

原作は回想シーンという形で過去を振り返るので、序盤から悲しい出来事があったことの想像が付くようになっています。
でも、映画は時系列の進行形で描かれているので、映画を先に見た私には、すごく唐突に死が訪れた感じがしました。
死に至る過程は原作の通りです。

主人公の恋愛模様に加えて、2人がそれぞれ抱えていたお悩み、心のキズや家族関係の修復の過程もちゃんと描かれています。
悪くはない・・・です。

そうそう、映画版は、本筋から外れない程度のアレンジがありました。
原作では2人が浜辺で貝を見つけるのですが(後に、思い出の品になる)、映画にはそのエピソードはなかったです。
映画には、その地方には浜辺をたくさんの馬が駆け抜けると幸せが訪れるみたいな言い伝えがある設定になっており、最後の方でその奇跡に遭遇するシーンがあるんです。
貝のエピソードの方が好みなんですが、馬の激走もそこそこよかったです。

と、振り返ってみると良さそげなレビューなのですが、実際は、私はこの作品を良いは思えませんでした。
悪くはない・・・としか言えません。

とりあえず邦題の「最後の初恋」が
ストーリーに合うとか合わないということではなく、表現がおかしいって思うのです。
最初の恋が初恋ですよね。
もしも、主人公達のその恋が人生最高のものであったとしても、それと初恋とは違うやろって感じです。

原作の英文タイトルは「Nights in Rodanthe」で、「ロダンテ(地名)の夜」なんですが、日本の出版社(ソフトバンク)が、純愛でこの本をプッシュしたい考えがミエミエです。
ニコラス・スパークスの作品は、全体を通して純愛がテーマらしいので、このタイトルも売るための戦略なのかもしれませんが・・・

あと、原作者のあとがきがあるんですが、これがまた勘弁してくださいって感じなんです

「この作品は、年々美しくなる妻キャシーの支えなしでは書けなかった・・・ありがとう!」
→このおマヌケなフレーズに始まり、「○○さんありがとう、○○さんありがとう」をお世話になった人達に対するお礼のメッセージを延々並べ続け、最後は「ポールとエイドリアン(主人公の名)を外せるだろうか」です。

自分の妻が美しくなったとか、どーでもいいです。
お礼のメッセージも、みなさんに直筆のお手紙でも出して伝えてください。

あと、訳者のあとがきもうっとうしいです。
「マディソン郡の橋に似ていると誤解を受けたようだが、別物だとおわかりいただけたでしょう」とか書いてます。
話としてはもちろん別物だと思いますが、似てる=そっくりだと思いました。

人それぞれの感じ方にまで言及してくる訳者、この人が「最後の初恋」のネーミングに関わっている可能性は大きいです。

Photo

ということで、この本の総評は、
邦題とあとがきで-50点
マディソン郡の橋に似てるってことで-20点
装丁がキレイなので+5点
総合評価35点の作品でした。

ついでに最近見た映画の方も・・・
邦題で-10点
マディソン郡の橋に似てるってことで-20点
ダイアン・レインがえらく老け込んでいたので-10点
リチャード・ギアの好演で+10点
総合評価70点です。
※映画としては90分強で短くコンパクトにまとめられており、ラクに見られる作品だと思います。映画の方が、おススメです。

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